現在、世界的な経済危機の到来、新型コロナウイルスの影響など、経営者にとっては頭の痛い問題が次々とやってくる大変な情勢となっています。経済が停滞し、人もカネも動きにくくなっている昨今、資金不足に悩む企業も少なくありません。今回は、経営者ならぜひ知っておくべき「資金不足」の原因と、その対策として役に立つ「資金繰り」の方法について解説します。
「資金不足」とは?
そもそも、資金不足というのはどういったものなのでしょうか。経営における資金不足とは、別名を「資金ショート」というように、経営にかかる諸経費や運転資金が不足し、今後の見通しにまで大きな影響を与えてしまっている状態を指します。原因はさまざまあれど、他人事と油断していては知らない間に危機的状況になってしまうことがままあります。
経営をしている以上、いつでも誰にでも起こりうる可能性のある資金不足ですが、いざ資金不足が起きてしまった場合の対処法を知らない経営者は少なくないようです。資金不足になってしまってから慌てて付け焼き刃の融資を無理に行おうとしますと、悪徳な金貸に引っ掛かって会社が余計傾いてしまう危険性もあります。
そうしたにっちもさっちもいかない状況を招かないためには、「資金不足はなぜ起きてしまうのか?」ということをよく知っておく必要があります。
資金不足は何故起きてしまうのか?
日本商工会議所の資料(『中小企業のための消費税引上げ対策 3 資金繰り』 https://www.jcci.or.jp/chusho/3.sikinguri.pdf)によれば、資金不足の主な原因は、大きく分けて2つあります。それは、「管理不足」ないしは「認識不足」です。
「管理不足」にあたる原因としては、「設備の故障により急にまとまった出費が発生してしまった」「売上げが急に低下してしまった」「売掛金の回収前に多大な支出が必要になった」などが挙げられます。単純に資金に関する管理が徹底していないことで資金不足が起きるということです。
「認識不足」にあたる原因としては、「消費税率の変更で納税額が一気に増えた」「借入金の返済を費用として認識していた」といったことが挙げられます。消費税は赤字でも払わないといけないことや、借入金返済資金は利益から工面する必要があることを認識していない経営者が多いのです。
また、取引先の倒産や、2020年5月現在リアルタイムで発生している世界的な感染症の発生など、予期せぬ事態での資金ショートの可能性もあります。
経営というのは本来、管理と認識をしっかりと持って今後の筋道や見通しをしっかりと構築し、そのスキームに向かって資金を投じ、売上げを回収していくことの繰り返しです。資金は限られているものですから、管理ないし認識のどちらかを怠れば、あっという間に資金が枯渇してしまうということも容易に起きかねません。
予期せぬ事態を想定した運転資金も本来なら用意しておくべきなのですが、それがなかなかできない場合も多いでしょう。そうしたときのために、資金繰り対策については早めに知って手を打っておくべきなのです。
「資金繰り表」をしっかりつけて資金の移動を見える化しよう
企業経営の場合では、売上げや利益がたとえ伸びていても、手元に資金がない状態になることがあります。これは「勘定あって銭足らず」といい、この状態が続くと黒字倒産という事態を招いてしまいます。こうした事態は「発生主義」という考え方によって、売上金の入金がまだされていない状態で販売日に売上げ・利益として計上することによって、しばしば起こり得るのです。これが資金不足の怖いところです。
とくに製造業や建設業の場合、先に諸費用を支払って、あとで利益を回収するというビジネスモデルになっています。こうした業態では仕入れ費などの運転資金が高額になっています。そのため、とくに資金不足のリスクが高くなっているのです。
日本商工会議所では、資金不足対策として「資金繰り表」の作成を推奨しています。資金繰り表とは、現金の出入りを時系列順に並べて、残高を把握し残高の移り変わりを予想するためにつけるものです。日次、週次、月次でどのように資金が移り変わっていくのかを資金繰り表にしっかり記録しておくことは、資金不足を防ぐための有効な策となり得ます。
この資金繰り表の主な目的としては、買掛金支払いと売上金回収にタイムラグがありわかりづらいお金の動きを、明確に「見える化」することにあります。
いつ、何に対していくら支払う必要があるのか。そしていつ、どこから、どれほどの入金があるのか。これを明確にするだけでも、資金の移動に関してどこに危険があるのかも見通しがつきますし、売上金回収にかかるタイムラグについてどこがどうズレると問題なのか、といったことも一目でわかるようになります。
いざというとき、急ぎで資金調達できる方法も知っておこう
とはいえ、先程も触れた通り、予想できない不測の事態でも資金が不足することは往往にしてあります。
新型コロナウイルスの影響などの緊急事態に際しては、国からの休業補償や給付金を得られる可能性もありますが、申請から入金までにはどうしても時間がかかってしまいます。そうしたときに役立つ、急ぎで資金調達ができる方法もいくつかあるのです。
まずはよく知られるように銀行などの金融機関への融資の相談、いわゆるビジネスローンやカードローンなどといった方法でとりあえずの資金を確保する方法です。この方法はよく知られていますが、銀行への融資の申込みをする際に、資金繰り表があると大変有利になります。こうした意味でも資金繰り表を作るメリットは大きいでしょう。
どうしても急ぎで資金調達したい場合には、「ファクタリング」という方法もあります。これは資金調達において唯一「借金ではない資金調達方法」として知られているものです。ファクタリングとは、簡潔にいえば「将来入ってくる売掛金の一部を資金として前借りできる」手法となっています。
例えるならば、まとまったお金が必要になったときに手数料を支払って給料を前借りするといったイメージで、日本においてはあまり知られていませんものの、海外ではメジャーな資金繰り方法です。ファクタリングにはいくつかの方法がありますが、急ぎの場合は「売掛先への通知はNG」ですので、売掛先が契約に絡まない「二者間ファクタリング」を申し込みましょう。
ファクタリングの大きな強みとしては、必要書類がしっかりそろっていれば、即日入金も望める方法です。ファクタリングの申込みや審査に際しては、登記簿謄本、決算書や確定申告書、売掛先との基本契約書、発注書・納品書・請求書などの書類が必要になりますので、しっかり調べて書類を準備しておきましょう。
まとめ
以上、資金不足の際の対策について、資金不足の原因から立ち返って一通り解説しました。経営していくうえで最も危険なのはどんぶり勘定で資金を回していくことです。しっかりと売掛金回収とのズレも明確に視覚化したうえで、資金の移動を見える化していくことが、経常収支の見直しにもつながりますし、資金繰りを行ううえでも役立ちます。
渋谷区神宮前にあるカウンセリングサロン「Sedna Healing」では、レイキヒーリングを基調としながらも、主に経営者への個人カウンセリングをはじめ、さまざまなビジネス相談事業も行っています。社内での組織運営に際する問題の解決案の提案や、売上げをより大きくしていくためのアドバイスいたしております。資金繰りなどの経営面でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。